最悪IN・・・桐野夏生 /最悪・・・奥田 英朗
久々に本の印象をUPします。
読んだだけでUPしていないものが貯まっています。今日は、2冊分まとめて・・・
個人的には、【最悪】が良かったです。
桐野 夏生 : 著
集 英 社 : 出版
不倫を描いた某作家の私小説に秘められた謎・・・
それを探っていくことで、二つの不倫劇が語られていきます。
女流作家:鈴木タマキは、『淫』という小説を書こうとしています。
テーマは、恋愛における「抹殺」で、この抹殺は、死を意味するのではなく、自分の都合で相手と関係を断ち相手の心を殺すこと。
作中小説:『無垢人』に登場する著者の愛人、◯子。タマキは、◯子に関する情報を集める中で以前付き合っていた阿部青司との関係を振り返って考えようとする。
そのために、緑川未来男という作家の『無垢人』という小説に出て来る、緑川の愛人だった女性=〇子の正体を突き止めようとし、
その過程を小説に仕立てることに情熱を注ぐタマキ・・・
その半生と自分の恋愛とをつないで、「淫」という小説に書こうとしているタマキ。
資料を集め、関係者から話を聞く・・・それが自分の恋愛と重なっていくのは確かですが・・・どうもこの辺りが私にはよくわかりませんでした。
「恋愛の抹殺」というテーマとは、
緑川の愛人と妻や、タマキと愛人の関係などが、どう抹殺されるかよりも、
人の心にある、「淫」、「隠」、そして基となる「因」について、考えさせられる作品でした。
外に向かう小説ではなくまさにそれぞれの自己の内面を考えると言う意味で「IN」でしょうか?
直前までにある期間、タマキ自身(著者自身とも言われていますが)も編集者とダブル不倫関係にあります。
恋愛の泥沼からどう決着をつけていくのか?
この作品のテーマになっている「恋愛の抹殺」は、もしかしたらご自身の心の置き処探しだったのかもしれません。
奥田 英朗 : 著
講 談 社 :発行
やることなす事、裏目に出てしまうことってありませんか?
自分の要領の悪さを「最悪・・・。」とつぶやいたことのある私。思い当たり、うなずける思いを持ちながら読みました。自分より強者といえる人に囲まれて、なんとか生きている人たちの悲劇でもあり喜劇にもなりきらないところが、面白い・・・
川谷信次郎
小さな鉄工所の社長。40代後半。
細々と部品を作る孫受けの工場は、バブル不況をもろに受けている上に、新しく建ったマンションの住人から騒
音問題で訴えられる。
野村和也
就職するでもなく大学にいくでもなく所謂フリーター。
カツアゲとパチンコで生計を立てている 。20代前半。
藤崎みどり
大手都銀かもめ銀行で窓口業務に携わる20代のOL。
この3人の主人公の物語が並行して描かれていきます。
チンピラの野村和也は別として、
町工場の川谷信次郎も銀行員の藤崎みどりも、極めて普通の 平凡な一般市民としての
考え方で暮らしています。
そんな彼らに、ほんの僅かずつ変化が起こり、不運が降りかかるのですが、
それに対応する行動も、普通こうするな~と自然な感じです。
それが、なぜか事態は悪い方へ、悪い方へと進んでしまいます。
あぁ^^、こういうことってたまに在るよね、って妙に納得しながらどんどん読み進んでしまいました。
特に、川谷のマイナス連鎖には、もう今は勘弁して!と祈るような気持ちになってしまいました。
すっかり感情移入してしまうほど、心理描写が見事で、実感があります。
小説を書くぞ!といった気負いの感じられない、久々に、面白い小説でした。
読んだだけでUPしていないものが貯まっています。今日は、2冊分まとめて・・・
個人的には、【最悪】が良かったです。
桐野 夏生 : 著
集 英 社 : 出版
不倫を描いた某作家の私小説に秘められた謎・・・
それを探っていくことで、二つの不倫劇が語られていきます。
女流作家:鈴木タマキは、『淫』という小説を書こうとしています。
テーマは、恋愛における「抹殺」で、この抹殺は、死を意味するのではなく、自分の都合で相手と関係を断ち相手の心を殺すこと。
作中小説:『無垢人』に登場する著者の愛人、◯子。タマキは、◯子に関する情報を集める中で以前付き合っていた阿部青司との関係を振り返って考えようとする。
そのために、緑川未来男という作家の『無垢人』という小説に出て来る、緑川の愛人だった女性=〇子の正体を突き止めようとし、
その過程を小説に仕立てることに情熱を注ぐタマキ・・・
その半生と自分の恋愛とをつないで、「淫」という小説に書こうとしているタマキ。
資料を集め、関係者から話を聞く・・・それが自分の恋愛と重なっていくのは確かですが・・・どうもこの辺りが私にはよくわかりませんでした。
「恋愛の抹殺」というテーマとは、
緑川の愛人と妻や、タマキと愛人の関係などが、どう抹殺されるかよりも、
人の心にある、「淫」、「隠」、そして基となる「因」について、考えさせられる作品でした。
外に向かう小説ではなくまさにそれぞれの自己の内面を考えると言う意味で「IN」でしょうか?
直前までにある期間、タマキ自身(著者自身とも言われていますが)も編集者とダブル不倫関係にあります。
恋愛の泥沼からどう決着をつけていくのか?
この作品のテーマになっている「恋愛の抹殺」は、もしかしたらご自身の心の置き処探しだったのかもしれません。
奥田 英朗 : 著
講 談 社 :発行
やることなす事、裏目に出てしまうことってありませんか?
自分の要領の悪さを「最悪・・・。」とつぶやいたことのある私。思い当たり、うなずける思いを持ちながら読みました。自分より強者といえる人に囲まれて、なんとか生きている人たちの悲劇でもあり喜劇にもなりきらないところが、面白い・・・
川谷信次郎
小さな鉄工所の社長。40代後半。
細々と部品を作る孫受けの工場は、バブル不況をもろに受けている上に、新しく建ったマンションの住人から騒
音問題で訴えられる。
野村和也
就職するでもなく大学にいくでもなく所謂フリーター。
カツアゲとパチンコで生計を立てている 。20代前半。
藤崎みどり
大手都銀かもめ銀行で窓口業務に携わる20代のOL。
この3人の主人公の物語が並行して描かれていきます。
チンピラの野村和也は別として、
町工場の川谷信次郎も銀行員の藤崎みどりも、極めて普通の 平凡な一般市民としての
考え方で暮らしています。
そんな彼らに、ほんの僅かずつ変化が起こり、不運が降りかかるのですが、
それに対応する行動も、普通こうするな~と自然な感じです。
それが、なぜか事態は悪い方へ、悪い方へと進んでしまいます。
あぁ^^、こういうことってたまに在るよね、って妙に納得しながらどんどん読み進んでしまいました。
特に、川谷のマイナス連鎖には、もう今は勘弁して!と祈るような気持ちになってしまいました。
すっかり感情移入してしまうほど、心理描写が見事で、実感があります。
小説を書くぞ!といった気負いの感じられない、久々に、面白い小説でした。
by kosuzume2
| 2010-06-13 20:06
| 本