帚木蓬正の本・・・「閉鎖病棟」「安楽病棟」「臓器農場」「受命」「インターセックス」
4月13日に後輩のUさんから届いた本、ようやく全部読み終えました。
帚木蓬正(ははきぎ ほうせい)にはまっています(と、10冊のうちの5冊が、帚木作品・・・
「閉鎖病棟」「安楽病棟」「臓器農場」「受命」「インターセックス」でした。
お勧めは「閉鎖病棟」「安楽病棟」。「受命」も衝撃的です。
きっと気に入っていただけると信じています。
何かホッとするものがあります、とUさん。
正直なところ、タイトルと表紙の雰囲気に怖気づきましたが、Uさんの言葉を信頼しましょう。
なるほど・・・確かにどれも小説としての面白さを持ちながら、感銘を受け、考えさせられるものばかりでした。
あの、一見まがまがしいようなタイトルも読み終えてみると、これしか無い!と思えてきます。
現役の精神科医でもある帚木蓬正氏は、2年間TV局に勤務の後、医学部に学んだ経歴。
そもそも私は、本職以外に売れる技をこなす人に魅力を感じます。
趣味を超えてのプロフェッショナルな絵であり、音楽であり、工芸であり、・・・もろもろ。
この人もそんな1人で、小説は30冊近く書いておられます。ストレスの多い現職の精神科医が、よくぞと感動、尊敬します。
そして、その作品から穏やかで柔らかな慈しみの気持ちで人と接する方だと思われます。
妙なもので、多くの医師たちはその専門分野と同じ病気になられる事が多く、
神経を病まれた精神科医の知り合いも複数いらっしゃいます。その理由、わかる気もします。
羨ましいです、この先生の患者さんたち。
それで・・・
今回は、帚木蓬正さんの4つの作品を一挙にUPします。
まずは「臓器農場」
山の上にある近代的な病院(九州らしい)に、新任看護婦(注:当時は看護士ではなかった)として勤務を始めた規子。
出だし・・・、ケーブルカーでの通勤の様子、確か以前読んだ記憶があります。
それなのに、どこまで読んでも新鮮で、まるで始めての物のようにどんどん読み進めます。
臓器移植と生命と巡る非常に重いテーマですが、
はらはら・ひやひや・ドキドキ・・・スリル溢れるだけでなく、
素敵な表現や真理にも出会えて、更に少しロマンティック。先が気になって久し振りの一気読みでした。
無脳症という異常児がいるそうです。脳の部分が全く無い胎児だそうです。
出産しても数日以内に死を迎える事になるので、
普通は妊娠中の監査でわかった時点で人工流産させるのですが、
無脳症児がその生命を終える前に、その臓器を摘出・移植する事によって別の子供を助けることは、倫理的にも許される。派と、
無脳症とはいえ「人間」である。ほかの子供を助けるためとはいえその命を道具のように扱うことは許されない。派に、見解が分かれます。
これが、この本の鍵です。
文中でなるほど~と感じた部分、要約ですが書き留めておきます。
★ どんな困難な状況でも与えられる妙薬がある。それは、≪希望≫です。
≪希望≫という薬は、すべての病気のあらゆる経過中に処方でき、薬の効用を増し、自然治癒力を強めます。
ただ、ニセの≪希望≫には副作用があります。
ニセの≪希望≫というのは、患者を喜ばせたり、自分の権威の為にいい加減な希望を与える事です。
患者は、現実を正しく認識できなくなり、無益なあがきや感情の処理に苦しみます。
針の穴のような小さい希望でめ見逃してはいけません。
★ 母親に料理する心があれば、子供は非行に走らない。
共働きの母親でも、手のかかる料理をたっぷり作って与えておけば、決してゴタゴタは生じない。
手抜き料理しかしない母親からは、必ず子供の心が離れていく。
★ 【喪】は、立派な医学用語よ。かかわった人の死が呼びおこす反応と、その反応を収束させていく過程の総称よ。
通夜とかお葬式を馬鹿にしてはいけないわ。重要な儀式なの。
私達看護婦とは切っても切れない事柄、は婦長の言葉です。
規子やその周囲の看護婦さんたちの、優しさにもものすごく感動しました。
何があってもへこたれない、逞しい優しさと責任感・・・その大変さは充実感にも繋がるのかも知れません。
やはり、医者より人間としての大きな器が無くては無理でしょうね。
看護婦さんなんかと結婚して、後悔しているでしょね~~と軽く言う人達。
なんて、見当違いな言葉でしょう。
↓写真をクリックして下さい。簡単ですが、感想のページにいかれると思います。
閉鎖病棟は、以前UPしたものです。
帚木蓬正(ははきぎ ほうせい)にはまっています(と、10冊のうちの5冊が、帚木作品・・・
「閉鎖病棟」「安楽病棟」「臓器農場」「受命」「インターセックス」でした。
お勧めは「閉鎖病棟」「安楽病棟」。「受命」も衝撃的です。
きっと気に入っていただけると信じています。
何かホッとするものがあります、とUさん。
正直なところ、タイトルと表紙の雰囲気に怖気づきましたが、Uさんの言葉を信頼しましょう。
なるほど・・・確かにどれも小説としての面白さを持ちながら、感銘を受け、考えさせられるものばかりでした。
あの、一見まがまがしいようなタイトルも読み終えてみると、これしか無い!と思えてきます。
現役の精神科医でもある帚木蓬正氏は、2年間TV局に勤務の後、医学部に学んだ経歴。
そもそも私は、本職以外に売れる技をこなす人に魅力を感じます。
趣味を超えてのプロフェッショナルな絵であり、音楽であり、工芸であり、・・・もろもろ。
この人もそんな1人で、小説は30冊近く書いておられます。ストレスの多い現職の精神科医が、よくぞと感動、尊敬します。
そして、その作品から穏やかで柔らかな慈しみの気持ちで人と接する方だと思われます。
妙なもので、多くの医師たちはその専門分野と同じ病気になられる事が多く、
神経を病まれた精神科医の知り合いも複数いらっしゃいます。その理由、わかる気もします。
羨ましいです、この先生の患者さんたち。
それで・・・
今回は、帚木蓬正さんの4つの作品を一挙にUPします。
まずは「臓器農場」
山の上にある近代的な病院(九州らしい)に、新任看護婦(注:当時は看護士ではなかった)として勤務を始めた規子。
出だし・・・、ケーブルカーでの通勤の様子、確か以前読んだ記憶があります。
それなのに、どこまで読んでも新鮮で、まるで始めての物のようにどんどん読み進めます。
臓器移植と生命と巡る非常に重いテーマですが、
はらはら・ひやひや・ドキドキ・・・スリル溢れるだけでなく、
素敵な表現や真理にも出会えて、更に少しロマンティック。先が気になって久し振りの一気読みでした。
無脳症という異常児がいるそうです。脳の部分が全く無い胎児だそうです。
出産しても数日以内に死を迎える事になるので、
普通は妊娠中の監査でわかった時点で人工流産させるのですが、
無脳症児がその生命を終える前に、その臓器を摘出・移植する事によって別の子供を助けることは、倫理的にも許される。派と、
無脳症とはいえ「人間」である。ほかの子供を助けるためとはいえその命を道具のように扱うことは許されない。派に、見解が分かれます。
これが、この本の鍵です。
文中でなるほど~と感じた部分、要約ですが書き留めておきます。
★ どんな困難な状況でも与えられる妙薬がある。それは、≪希望≫です。
≪希望≫という薬は、すべての病気のあらゆる経過中に処方でき、薬の効用を増し、自然治癒力を強めます。
ただ、ニセの≪希望≫には副作用があります。
ニセの≪希望≫というのは、患者を喜ばせたり、自分の権威の為にいい加減な希望を与える事です。
患者は、現実を正しく認識できなくなり、無益なあがきや感情の処理に苦しみます。
針の穴のような小さい希望でめ見逃してはいけません。
★ 母親に料理する心があれば、子供は非行に走らない。
共働きの母親でも、手のかかる料理をたっぷり作って与えておけば、決してゴタゴタは生じない。
手抜き料理しかしない母親からは、必ず子供の心が離れていく。
★ 【喪】は、立派な医学用語よ。かかわった人の死が呼びおこす反応と、その反応を収束させていく過程の総称よ。
通夜とかお葬式を馬鹿にしてはいけないわ。重要な儀式なの。
私達看護婦とは切っても切れない事柄、は婦長の言葉です。
規子やその周囲の看護婦さんたちの、優しさにもものすごく感動しました。
何があってもへこたれない、逞しい優しさと責任感・・・その大変さは充実感にも繋がるのかも知れません。
やはり、医者より人間としての大きな器が無くては無理でしょうね。
看護婦さんなんかと結婚して、後悔しているでしょね~~と軽く言う人達。
なんて、見当違いな言葉でしょう。
↓写真をクリックして下さい。簡単ですが、感想のページにいかれると思います。
閉鎖病棟は、以前UPしたものです。
by kosuzume2
| 2010-06-28 20:17
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