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こすずめ日記

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安楽病棟

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何だか、読み流せなくて・・・読みきるのに2週間かかってしまいました。

とても考えさせられました。ミステリーとは全く思わないで、ドキュメンタリーと思いながら読んでいました。
それぞれの人生が千差万別、誰一人同じでない事は、承知しているつもりでも改めて考えさせられます。
この病棟に入った人々の人生がすっきり短く語られ、その後の病棟生活が新人看護士の目で語られます。

その、看護士さんの考え方と実際の介護の様子に感銘を受けながら、このような理想を求めて良いのか?
期待し過ぎる危険も感じてしまいました。


文の引用ですが・・・時々省略させていただいています。

  痴呆になった家族を介護した体験記というのは数えあげると何十冊もあるはずです。(略)
  それをもってして、痴呆はこうだ、介護はこうだと声高に主張したところで、
  大きな像の身体の一部を、目を閉じて撫でまくっているのと変わりません。
  それに比べると、私たちが毎日接している御年寄りは四十人、時々見ているデイケアの患者さんも入れると六十人近く
  なります。同じ痴呆といっても、その1人一人が違うのです。(略)
  七十年。八十年と生き抜いてきた高齢者というのは、いくら痴呆が加わっても、
  いや痴呆という異質な力が加わるからこそ、ますます千差万別になっていきます。
  素人の介護者による体験記というのは、自分が見てきたお年寄りこそがすべてであるという論理になりがちです。そこ
  にどうしても違和感を覚えてしまいます


それぞれに人生を生きてきた老人達が、痴呆という状況に陥った場合に、
その人のそれまでの人生には意味があるという事や、人としての尊厳を失わない生き方、老い方を考えさせられました。

近い将来必ず我々がその当事者になる問題です。

老人介護、痴呆老人医療、安楽死問題など本書で扱われている事柄に心が停まってしまい、先へ進めませんでした。

初老は40歳から・・・、
あとは坂を転げ落ちるように老いていく、
自分の老いを、死を常に現実の物として考える必要があるのだ、という作者の言葉も真実なのでしょう。


介護の情景、介護士・看護士さんの日々奮闘ぶりに有難いとしか思えませんでした。
認知症はまず”ありがとう”という言葉から奪っていく。。。これが、確かな現実ともはじめて知りました。

そして・・・
中学しか出ていないという看護学校の先生の言葉、心に沁みました。
患者の傍にいなくては看護は成立しません。看という字はどう書きますか。
手と目から成り立っていますね。手と目ですよ。その二つで患者さんを護るのが看護です。

最後には、医師の立場からの意見の体現者として香月医師が登場し、また付け足しのようなミステリ部分もあります。
しかし、本書は、痴呆老人介護問題の集大成とでも言いたい程様々な生活上の問題が具体的に描かれており、多くのことを考えさせられます。本書は、小説というより帚木さんのレポート、と言う方が実態に近いようです。
by kosuzume2 | 2010-06-28 00:00 |
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