ふつうがえらい

佐野 洋子 : 著
新 潮 社 : 発行
追悼 佐野洋子さん
と帯の大きな文字が目を引きました。
絵本

ずっとお母さんを好きでなかった娘がはじめて母との愛憎を書いた【シズコさん】の著書もあり、なにより谷川俊太郎の結婚相手の一人だったこと、その人を”才能の無い谷川俊太郎”などと堂々と言ってしまう人である事に興味を持って読んでみようと思った本です。
≪100万回生きたねこ≫、確かに読んだし、家にもありましたが・・・死んでも死んでも生き返る猫の話だったなぁ~としか思い出せません。実は、あの猫の画、好きと言えないし。
≪シズコさん≫は、ずーと読みたいと思いながら、自分と重なる部分が恐くて未だに手が出せません。
過去にマガジンハウスから刊行されているというエッセイ集。
まぁ~バサリバサリと本音の切り口が小気味よいです。ひたすら自分に正直な強い人だなぁ~と読みながら、「そうそう、私もそれ気になる!!」って喝采している自分もいました。
元気と勇気と自信に出会えました。
媚びない考え方や文章、自分で出来ないだけに凄く憧れをもって読みました。
時に痛快!です。
考えますと、女性の作家さんにけっこうありますね。
群ようこ・・・【いいわけ劇場】、あぁ~残念、先日処分してしまいました。【かもめ食堂】も読みたい。
鴨居羊子・・・革命的な下着デザイナーですが、この人の考え方、表現の仕方も、恐れ知らずな正直さでおもしろかったし、
佐藤愛子・曽野綾子さんも大人の檄が爽快です。
佐野洋子さんの本、これを機会にもっといろいろ読んでみたくなっています。
印象に残った部分、心覚えに書きますね。(順不同)
✿ 忙しいのよりひまなほうがいいなあ。忙しいと、ムシャクシャするんだ。忙しいとおっかなくなるなあ。
暇な人って人相が良い。私も暇にして、良い人相して、人に道なんか丁寧に教えてあげたい。
✿ 子供は言葉が通じないものなのだ。それなのに私は、優しい言葉でいえば子供に言葉が通じると思いこんでいたの だ。大人の沢野ひとし=「ウマヘタ絵」と言われる絵を描く画家=でさえ言葉は全然通じない。
ことばは通じなくても、ことばでないものを感じたりわかったりするのだ。
・・・・・・・・・・・・・・略・・・・・・・・・・・
ことばが通じる事がけで満足したりして、ことばでないものをわかったり感じたりすることを投げ捨ててしまうの だ。
ことばでないことばの背後に、絵ではない絵の背後の世界の不思議さをわかり合う事なのだ。
✿ 「おれんち、おれんちふつうですよ。いえなんか普通と思っていないとやってられないよ。テッチャンちも普通、おばさん ちもふつう・・」