ミドリさんとカラクリ屋敷
鈴木遥 : 著
集英社 : 発行
屋根から電信柱が突き出た不思議な家がありました。
7年前の2004年、高校生だった著者が偶然見つけたその家の主は、大正2年生まれの91歳のミドリさん。
「自分は美人だけど美人はほかにもいるから日本一になれない」と言うミドリさんは、<控えめ>とか<謙虚>とは無縁な大人物。
◆「建築が好き。この家はすべて自分で設計して建てた」
◆「電信柱を中央に建てるのが一番丈夫なつくり。地震や台風がきてもたおれない。」
◆「北海道で暮らした家には回転扉があって、忍者屋敷みたいな”からくり”がたくさんあった」
ミドリさんの言葉には ____なんだか、謎が多すぎる。
家紋を施した門の奥に・・・
青い瓦屋根・黄色い扇模様の棟飾り・クリーム色とこげ茶色の大胆でシンプルな欄干・すべて模様の違う戸袋・松竹梅の装飾を施した窓の鉄柵・・・・・洗練された美しい外観と独特の存在感漂う大きな日本家屋。
著者はこの電信柱の家に通いはじめ、個性あふれるミドリさんの考え方や行動力を知り・・・北海道の開拓移民としてのルーツや生涯をたどり・・・7年の取材の後に書かれたノンフィクション、第八回開高健ノンフィクション賞次点作品です。
これが、その家の外観。
本の見開きには、さまざまなこの屋の細部と様子がたくさんの写真で見られます。
それらは、確かに凄い!と思うのですが、個人的には洗練された美しさを感じません。
一つ一つ、凝りに凝ったそして、考えに考えた造りにしても、あまりにも統一感がありません。
一言でいえば、品が良くない・・・かな?
ミドリさんの元気なおおらかさ、計算深さ、そして興味の有る事はとことん極める粘り強さとなによりぴポジティブ思考にはびっくりしながら、
それにしてもこのバランスの悪さを善しと、夫婦で同じ価値観を持って家を作ることが出来たミドリさん、
スパスパと自分の価値観と本音で世渡りをしてこられたミドリさんは痛快で、頼もしい人物・・・・・・
回転扉、隠し部屋、秘密の通路や屋根裏部屋などの存在も、謎のまま進んで、とても楽しく読めました。
新潟から北海道開拓民として移民した人々の暮らしと人間関係など、とても詳細に調べて書かれています。
大変だっただろうと思いながら、わかりにくいので飛ばし読み・・・ごめんなさい。
by kosuzume2
| 2011-08-23 21:51
| 本