冬のひまわり・浅の川暮色
五木寛之 : 著
ポプラ文庫
改訂新版
表題の「冬のひまわり」と「浅の川慕情」が入っています。
「冬のひまわり」は1988年、「浅の川慕情」は1978年に書かれたものでした。
そういえば、今ではない設定も有りますが、古びてはいません。
冬のひまわり・・・8時間耐久レースが華やかだった、鈴鹿サーキットが主な舞台ですがそれに興味のない私はその辺り読み飛ばし~
さほど心を打つ作品とは思わなかったのですが・・・こんな歌を知って、成程と納得しています。
こんな歌=五木寛之さんが小節をモチーフに書いた詩で出来たこれです。
聞いていると、納得できるから不思議です。やはり、作者です!
浅の川慕情・・・文庫でわずか47ページの短編ですが、これは良かったです!
五木寛之と金沢は妙に一体感がありますが、なればこその思いがひしひし・・・・
有名一流新聞社の鼻持ちならない生意気な地方記者時代の苦い過去が、人間性豊かに描かれてしみじみ・・・・
舞台となった金沢市主計町(かずえまち)は、古い郭の町でこの小説の書かれた1978年当時は、尾張町と名前が変わって、それを知った作者がこの話のきっかけに使っています。
今は又、主計町(かずえまち)になっていて、浅の川のほとりには「浅の川慕情」の1節の碑もあるそうです。
たまたま見つけた、この方のこのページを読んで、金沢に行ってみたくなりました。
小説のモデルの鍋(だけ)料理屋さんにも惹かれます。
印象的だったのは、解説の唯川 恵さんの文章で、
”人生は選択の連続だ。それが良いでも悪いでもなく、正しいでも間違っているでもなく、選択するしかなのである。そして、選択の先に待っているものはまた選択であり、それは永遠に続いてゆく。ことを、主人公の年齢を遥かに越した今、素直に頷ける。”・・・・でした。
by kosuzume2
| 2009-01-02 23:52
| 本