こすずめ日記

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骸骨ビルの庭

手術前に読んだ本です。感想が纏まらなくて困りました。ようやく、なんとか・・・です。

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宮本 輝 : 著
講 談 社 : 発行 


場所はーー大阪:十三(じゅうそう)にある『骸骨ビル』と呼ばれる杉山ビルジング。
時はーー平成6年2月から5月末までのおよそ3ヶ月間。


「おっちゃんは、光の中から来はった」とトシ坊は言った。
その骸骨ビルに、突然入ってきた男のほうに、わざわざ迎えるように走っていった弟に怒りの目を向けている姉への弁解らしかった。
(本文から引用)

昭和24年秋、戦線から帰還し骸骨ビルに足を踏み入れた時、そこに隠れ住んでいた孤児の一言がきっかけとなって、
ビルの所有者:阿部轍正とその友人の茂木泰造は、戦後の混乱期多くの戦争孤児たちを育てることに・・・
そこに、戦後45年を経た平成6年になっても、茂木とかつての戦争孤児たちが未だ済み続ける。
理由は、
「パパちゃん」と孤児たちに慕われた阿部が、孤児の一人から性的暴行で訴えられ、汚名を着せられたまま病死したことで、阿部の名誉回復を果たしたい・・・と。

主人公は、家電メーカーを早期退職した八木沢省三郎:通称『ヤギショウ』46歳。
特殊な才能を見込まれての再就職先=不動産関連会社での仕事は、ビルに居座る住人をの立ち退かせること。
その「特殊な能力とは、人に好かれること、
               粘り強いこと、
               かみそりの切れ味ではなく、鉈(なた)か斧のような切れ味で、難しい交渉を成立させることが恣意
               的でなく出来ること。
(本文ママ)

この本をジャンルわけすれば、どこに入るの?と考えながら、感慨深く読みました。
餓えをしのぐ為の畑仕事では、土と野菜の作り方や、
骸骨ビルを出て、小さな食堂を営む比呂仔の料理レシピは、詳しく、参考になりますし・・・
脅迫文を書いた犯人探し、人探しなどのミステリー仕立ての部分もあります。

戦後の混乱期、自分や家族の衣・食・住もままならない時代に延べにして50人もの孤児を育てる苦労を、生きる使命のように慈愛深く受け止める2人の若い男達。
戦争孤児の中でも親に捨てられた”棄迷児”たちの人を信じられない寂しい心を暖かく開かせる、祈りの優しさ・・・


深く感じ入る言葉にたくさん出会います。
 「人間が抱く嫉妬(しっと)のなかで最も暗くて陰湿なのは、対象となる人間の正しさや立派さに対してなの」
 「何かをなした人っちゅうのは、みんな無謀な吊り橋を渡っています」
 「どう生きても一生は一回きりです」
 「優れた師を持たない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘(わがまま)で横着で臆病で傲慢(ごうまん)な我が心を師とするしかないからだ」
 「恩を忘れたらいきながら地獄に落ちるよ」

もうすぐ64年目の終戦記日です。
戦後、こんな生活があったことを覚えておきたいと思いながら読みましたが、感想をなかなか纏められません。
こんなに書くことが難しいと感じたのは、初めてかもしれません。

とても、良い本に出会ったと思います。
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by kosuzume2 | 2010-02-14 22:20 |
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