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こすずめ日記

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2008年 10月 07日 ( 1 )

眼の壁

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松本清張 著
新潮文庫
昭和33年 光文社が初版発行の物です。

氷の華」の著者が、好きな本はと問われ迷うことなく挙げたのが、アガサ・クリスティの『アクロイド殺人事件』と松本清張の『眼の壁』の2冊でした。
両方とも確か読んでいますが、改めて・・・と読みました。

一言で言うと、やっぱり松本清張は凄い作家です。
昭和33年って、今から50年前ですが全く古さがありません。

はっきり違うのは、お金の価値・新幹線がない事、それと電話です。
電話・・・自宅に電話がない時代です。隣家に呼び出しをして貰っています。
その他必要な連絡も、交換を通して時間を惜しみながらの通話です。

この小説の始まりは企業相手の手形詐欺。
社員の給料用の現金が6000万円(今ならいくら?)不足した大企業の経理課長がパクリ屋(詐欺師)に騙され、自殺してしまう。

その詳細を残された遺書で知って、上司の無念を晴らすために詐欺事件を調べていく萩埼竜雄が主人公です。
右翼のボスの動向を探り始めた辺りから、組織的な犯行の黒い闇が湧いてきますが血なまぐさくない展開が続きます。

誘拐した人間をどうやって何処に隠すか・・・面白い発想です。
点と線(だったか?)でズーズー弁をトリックにしたり、紙吹雪の女で証拠物を捨てる発想と同じです。
この結末は、凄惨さはあるのですがここにも意外性が・・・

清張作品では、人の心の奥のどこか自然な動きが偶然に膨らんだり絡んだりして、犯罪につながって行きます。
”解決編に申し訳みたいに動機らしいものをくっつけたのは、文章の遊びに過ぎない”と語った作者の言葉に賛成です。

このタイトル「眼の壁」の意味がなかなかわかりませんでした。
読み終えてようやくわかりかかったこと。
その眼に見えている物は壁で、その壁の向こうにある悲しみや罪や悪意や愛を隠している。
それが見えていない・・・とでも受け取ればいいのでしょうか。
by kosuzume2 | 2008-10-07 23:05 |
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