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こすずめ日記

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2010年 06月 28日 ( 4 )

帚木蓬正の本・・・「閉鎖病棟」「安楽病棟」「臓器農場」「受命」「インターセックス」

4月13日に後輩のUさんから届いた本、ようやく全部読み終えました。
帚木蓬正ははきぎ ほうせい)にはまっています(と、10冊のうちの5冊が、帚木作品・・・
「閉鎖病棟」「安楽病棟」「臓器農場」「受命」「インターセックス」でした。

  お勧めは「閉鎖病棟」「安楽病棟」。「受命」も衝撃的です。
  きっと気に入っていただけると信じています。
  何かホッとするものがあります、
とUさん。   

正直なところ、タイトルと表紙の雰囲気に怖気づきましたが、Uさんの言葉を信頼しましょう。
なるほど・・・確かにどれも小説としての面白さを持ちながら、感銘を受け、考えさせられるものばかりでした。
あの、一見まがまがしいようなタイトルも読み終えてみると、これしか無い!と思えてきます。

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現役の精神科医でもある帚木蓬正氏は、2年間TV局に勤務の後、医学部に学んだ経歴。
そもそも私は、本職以外に売れる技をこなす人に魅力を感じます。
趣味を超えてのプロフェッショナルな絵であり、音楽であり、工芸であり、・・・もろもろ。
この人もそんな1人で、小説は30冊近く書いておられます。ストレスの多い現職の精神科医が、よくぞと感動、尊敬します。

そして、その作品から穏やかで柔らかな慈しみの気持ちで人と接する方だと思われます。
妙なもので、多くの医師たちはその専門分野と同じ病気になられる事が多く、
神経を病まれた精神科医の知り合いも複数いらっしゃいます。その理由、わかる気もします。
羨ましいです、この先生の患者さんたち。


それで・・・
今回は、帚木蓬正さんの4つの作品を一挙にUPします。
a0089450_2015486.jpgまずは「臓器農場」

山の上にある近代的な病院(九州らしい)に、新任看護婦(注:当時は看護士ではなかった)として勤務を始めた規子。
出だし・・・、ケーブルカーでの通勤の様子、確か以前読んだ記憶があります。
それなのに、どこまで読んでも新鮮で、まるで始めての物のようにどんどん読み進めます。

臓器移植と生命と巡る非常に重いテーマですが、
はらはら・ひやひや・ドキドキ・・・スリル溢れるだけでなく、
素敵な表現や真理にも出会えて、更に少しロマンティック。先が気になって久し振りの一気読みでした。

無脳症という異常児がいるそうです。脳の部分が全く無い胎児だそうです。
出産しても数日以内に死を迎える事になるので、
普通は妊娠中の監査でわかった時点で人工流産させるのですが、

無脳症児がその生命を終える前に、その臓器を摘出・移植する事によって別の子供を助けることは、倫理的にも許される。派と、
無脳症とはいえ「人間」である。ほかの子供を助けるためとはいえその命を道具のように扱うことは許されない。派に、見解が分かれます。
これが、この本の鍵です。

文中でなるほど~と感じた部分、要約ですが書き留めておきます。
 どんな困難な状況でも与えられる妙薬がある。それは、≪希望≫です。
   ≪希望≫という薬は、すべての病気のあらゆる経過中に処方でき、薬の効用を増し、自然治癒力を強めます。
   ただ、ニセの≪希望≫には副作用があります。
   ニセの≪希望≫というのは、患者を喜ばせたり、自分の権威の為にいい加減な希望を与える事です。
   患者は、現実を正しく認識できなくなり、無益なあがきや感情の処理に苦しみます。
   針の穴のような小さい希望でめ見逃してはいけません。

  母親に料理する心があれば、子供は非行に走らない。
   共働きの母親でも、手のかかる料理をたっぷり作って与えておけば、決してゴタゴタは生じない。
   手抜き料理しかしない母親からは、必ず子供の心が離れていく。

 ★ 【喪】は、立派な医学用語よ。かかわった人の死が呼びおこす反応と、その反応を収束させていく過程の総称よ。
   通夜とかお葬式を馬鹿にしてはいけないわ。重要な儀式なの。
   私達看護婦とは切っても切れない事柄、は婦長の言葉です。


規子やその周囲の看護婦さんたちの、優しさにもものすごく感動しました。
何があってもへこたれない、逞しい優しさと責任感・・・その大変さは充実感にも繋がるのかも知れません。
やはり、医者より人間としての大きな器が無くては無理でしょうね。

看護婦さんなんかと結婚して、後悔しているでしょね~~と軽く言う人達。
なんて、見当違いな言葉でしょう。

↓写真をクリックして下さい。簡単ですが、感想のページにいかれると思います。
閉鎖病棟は、以前UPしたものです。
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by kosuzume2 | 2010-06-28 20:17 |

インターセックス

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題名の“インターセックス”初めて知った言葉でした。
“半陰陽”とも言い、男女を示す染色体と性器等の身体つきが一致しない、あるいは未発達な両方の性器官(両性具有)をもつ場合もあるのだそうです。

以前、陸上競技(オリンピック?)でのことを思い出しました。
正確ではありませんが・・・
ある女性選手の染色体検査をしたところ男性と判定され出場資格を失ったような・・・
見かけは女性にしか見えなかった選手、染色体が男性のものであったらしいのです。

理屈はわかりますが、いまひとつ納得できなかったような~~

これの、発現率は10万人に1人とかなりの効率です。
でも、私は全く知りませんでした。

性同一性障害は、最近陽のあたる場所でかなり大っぴらに見聞きするようになっていますが、
“インターセックス”は、肉体的に最もデリケートな秘密として隠されているのでしょう。

この本によれば(小説としてのフィクションとは思えない)、
医師と親は、はどちらかの性に押し込めようとします。
激しい痛みを伴う手術を幼少から繰り返し受けさせられる肉体的苦痛に加えて、
診察台のカーテンの向こう側では、大勢の観察者に見世物のように見られている心の苦痛が、
あまりにも悲惨です。

贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院、
生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長に請われて勤務する泌尿婦人科医の秋野翔子。
「男か女である前に、わたしたちは人間ですから」と、翔子は、悩みと絶望に苦しむインターセックスの患者に救いの手を差し伸べようとします。

患者の話を丁寧に聞き、納得がいくまで説明を惜しまない彼女のような医師は理想です。
病人どれほど救われることでしょう。
舞台のサンビーチ病院登場しても岸川院長も、「エンブリオ」で登場しているそうですが読んでいません。

やがて翔子は、岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づいて・・・サスペンス仕立て^^

神が創り出した少数派の人たち。生れ付いての色々な病気や悩みを持っている人がいらっしゃる。
読む価値があると思います。
by kosuzume2 | 2010-06-28 00:00 |

安楽病棟

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何だか、読み流せなくて・・・読みきるのに2週間かかってしまいました。

とても考えさせられました。ミステリーとは全く思わないで、ドキュメンタリーと思いながら読んでいました。
それぞれの人生が千差万別、誰一人同じでない事は、承知しているつもりでも改めて考えさせられます。
この病棟に入った人々の人生がすっきり短く語られ、その後の病棟生活が新人看護士の目で語られます。

その、看護士さんの考え方と実際の介護の様子に感銘を受けながら、このような理想を求めて良いのか?
期待し過ぎる危険も感じてしまいました。


文の引用ですが・・・時々省略させていただいています。

  痴呆になった家族を介護した体験記というのは数えあげると何十冊もあるはずです。(略)
  それをもってして、痴呆はこうだ、介護はこうだと声高に主張したところで、
  大きな像の身体の一部を、目を閉じて撫でまくっているのと変わりません。
  それに比べると、私たちが毎日接している御年寄りは四十人、時々見ているデイケアの患者さんも入れると六十人近く
  なります。同じ痴呆といっても、その1人一人が違うのです。(略)
  七十年。八十年と生き抜いてきた高齢者というのは、いくら痴呆が加わっても、
  いや痴呆という異質な力が加わるからこそ、ますます千差万別になっていきます。
  素人の介護者による体験記というのは、自分が見てきたお年寄りこそがすべてであるという論理になりがちです。そこ
  にどうしても違和感を覚えてしまいます


それぞれに人生を生きてきた老人達が、痴呆という状況に陥った場合に、
その人のそれまでの人生には意味があるという事や、人としての尊厳を失わない生き方、老い方を考えさせられました。

近い将来必ず我々がその当事者になる問題です。

老人介護、痴呆老人医療、安楽死問題など本書で扱われている事柄に心が停まってしまい、先へ進めませんでした。

初老は40歳から・・・、
あとは坂を転げ落ちるように老いていく、
自分の老いを、死を常に現実の物として考える必要があるのだ、という作者の言葉も真実なのでしょう。


介護の情景、介護士・看護士さんの日々奮闘ぶりに有難いとしか思えませんでした。
認知症はまず”ありがとう”という言葉から奪っていく。。。これが、確かな現実ともはじめて知りました。

そして・・・
中学しか出ていないという看護学校の先生の言葉、心に沁みました。
患者の傍にいなくては看護は成立しません。看という字はどう書きますか。
手と目から成り立っていますね。手と目ですよ。その二つで患者さんを護るのが看護です。

最後には、医師の立場からの意見の体現者として香月医師が登場し、また付け足しのようなミステリ部分もあります。
しかし、本書は、痴呆老人介護問題の集大成とでも言いたい程様々な生活上の問題が具体的に描かれており、多くのことを考えさせられます。本書は、小説というより帚木さんのレポート、と言う方が実態に近いようです。
by kosuzume2 | 2010-06-28 00:00 |

受命

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北朝鮮が主な舞台です。 
北朝鮮、韓国、日本、ブラジル、中国など各国の内情も出てきます。
中でも、北朝鮮のことなど、ここまで書いていいのか心配になってしまう程詳しい状況が書かれています。

日系ブラジル人の産科医師:津村リカルド民男は、北京の国際医学会で、北朝鮮に来て、技術と知識を教えて欲しいと誘われる。
 ♣ 招聘医師として平壌入りした津村。
 ♣ 韓国系の企業の会長秘書として、万景峰号で海峡を
   渡った日本人女性舞子。
 ♣ 密入国した韓国人女性寛順と東源。

彼らは、同じ目的を持っています。
この国は、このまま存続してはならないと、、最高指導者の暗殺! 


読み方が悪かったのか?私には、この3人(3組)が最高指導者暗殺という大それた、同じ目的で繋がる理由が、理解できませんでした。
医師の津村以外の舞子や韓国人女性たちが、の深いつながりがきっとあるのでしょうが、疑問のままです。
これは『受精』の続編で、そりらから読むべきだったかも知れません。

それにしても、
危険を避けながら慎重で密かに用心深く連絡を取りながら、ひたすら目的に向うそれぞれ・・・
本当に怖くてドキドキしっぱなし。
中国と北朝鮮の関係も知らなかった事情が明らかに書いてありまして、物知らずのこすずめ、お勉強になりました。

作中で、医師の津村が中国側から、狭い川幅の向こうにある北朝鮮を眺める場面、『延吉』という場所のようです。
TVで私も見た記憶があります。
作者は、実際に北朝鮮に入りその様子もしっかり見ていらした上での作品のようです。

ここで、非常に気になったのは、
どのようにして北朝鮮に入ることが出来たのか?ですが、

「旅行会社のツアーに普通に申し込んで、北京から飛行機で入りました。その旅行会社に応募すれば、犯罪とか怪しい組織に加わってなければ行けるんじゃないんでしょうか(笑)。何も問題はなかったですから。
しかし『受命』刊行後は、要注意人物となって入国できないでしょう。」

箒木さんは、そんな風に答えていらっしゃいました。
わぁ~簡単に出入りできるのですね。
by kosuzume2 | 2010-06-28 00:00 |
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こすずめ・こすずめ福持っておいで


by kosuzume2
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